J1リーグの開幕カード。昨年、シーズン後半戦の驚異的な巻き返しでリーグ2連覇を果たした川崎が、東京との「多摩川クラシコ」で新シーズンの開幕を迎える。チャンピオンチームの開幕戦、更に相手が東京ということもあり、等々力のチケットは完売。ほぼ満員の観衆がスタンドを埋め尽くした中での一戦となった。川崎は昨季の優勝メンバーの大半が残留しただけでなく、ブラジルからレアンドロダミアンとマギーニョを補強、早速2人をスタメンで起用する。対する東京は攻撃的な選手を中心に補強した一方で、米本や田邉といった中堅の選手を移籍で放出。昨季の6位から更に順位を押し上げるには、スタメンに入った久保・小川など若手の台頭が必須条件だ。
試合はホームの川崎がボールを支配する展開。1トップのレアンドロをサポートする形で右サイドの小林がやや中央寄りの曖昧なポジションを取り、守る東京の混乱を誘おうとする。このポジショニングに対して、東京は左SBの小川が中に絞って小林を見ることで対応。左サイドの空いたスペースには、東が下りてきてカバーをすることで対面のマギーニョにも付け入る隙を与えない。SBが絞ってコンパクトに守る東京に対し、川崎はサイドチェンジの数を増やして横の揺さぶりをかけていくが、右サイドで守る室屋・久保のユニットも対人戦で負けずに押し返し、流れを渡さず。東京は自陣からのカウンターで久保がボールを運んだり、ディエゴ・永井の2トップへシンプルなボールを入れたりするなど、速攻で反撃。40分には川崎陣内のPA右隅付近で直接FKを獲得し、久保が左足で直接狙うものの、シュートは惜しくもゴール右ポスト。膠着した試合は0-0で後半へ折り返す。
後半、試合は東京のミスから大きく動き始める。54分、橋本からGKへの不用意なバックパスを中村がカット。一気にGKと1vs1の局面となるが、林が咄嗟の反応で防ぎ、ゴールを許さず。このチャンスに乗じて川崎が攻撃のギアを入れる。ここまでチャンスメイクに絡めなかったマギーニョを下げ、新加入の馬渡を右SBに入れると、この起用が的中。右サイドで時間を作れるようになった川崎は、57分、59分、60分と立て続けに小林が決定的なフィニッシュを放つが、林がこれらを全て防いでゴールを割らせず。勝点「3」が欲しい川崎は、終盤に齋藤・知念を投入して押し込もうとしたが、東京の守備が最後までボールを跳ね返し続けた。東京は高い位置からのプレスで疲労の色濃い前線の選手を優先的に交代。鳥栖から移籍加入の田川、韓国2部の光州から獲得した羅相浩を投入して速攻からの一撃を狙ったものの、こちらも決め手を欠き、ゴールを割ることはできず。結局最後までスコアは動かず、0-0のスコアレス決着となった。ホーム開幕戦で「勝ちきれなかった」感のある川崎に対し、東京は無得点ながらも最低限の勝点「1」奪取に成功。悪くないシーズンスタートとなった。