天皇杯の東京都予選に出場する社会人チームを決めるための予備戦に相当する、通称「東京カップ」。都1~3部リーグから自治体カテゴリ代表のチームが参加して3ブロックに分かれて実施される一次戦は、準決勝に相当する4回戦を実施。Aブロックでは、都1部で優勝を果たした南葛SCと、都3部でブロック優勝したTOKYO CITY F.C.の対戦となった。昨年11月の関東社会人サッカー大会で敗退し、関東2部に昇格できなかった南葛は、元日本代表の福西新監督が就任。この試合が采配初戦となる。対するTOKYO CITYは、強豪の大学出身者を多く擁する社会人チーム。この大会では2回戦で都1部の三菱養和SCを撃破するなど快進撃を続けており、注目の顔合わせだ。
試合の均衡は開始早々に崩れる。4分、南葛は右サイドに張った近藤のパスを東が受けてPAに侵入。ゴールライン際からの折り返しをカベッサが受けると、トラップから素早い反転シュートを沈めて先制に成功する。攻撃の手を緩めない南葛は11分にも追加点。今度は中央のディビッソンが左サイドに展開すると、PA内に侵入した冨岡のクロスにカベッサが飛び込み2点目。南葛が試合序盤で大きなアドバンテージを得る。南葛はボランチのディビッソンが攻守両面で大きな存在感を発揮。球際の強さを見せて相手にボールを落ち着かせず、圧倒的に中盤を支配する。出鼻を挫かれた形となったTOKYO CITYは、先制された直後に南葛の高いDFラインの裏を突いた1トップの市川がGKと1vs1の場面を迎えるなど絶好機を作るが、GK・大河原のビッグセーブに遭い、ゴールを割ることができず。最終ラインから縦パスをなかなか入れられない中、ロングボールから前線のポストプレイを生かした攻撃では何度か好機を作りかけるものの、なかなかシュートに持ち込めず、35分ハーフの前半があっという間に終了する。
後半立ち上がり、再びチャンスを掴んだのは南葛。37分、左CKの流れからゴール正面にこぼれたボールに詰めた近藤が右足で鮮やかなダイレクトボレー。これがゴール右隅に決まって3-0。試合の勝敗を決定づける1点が入る。しかしTOKYO CITYは諦めを見せない。直後の38分に左サイドから攻め入ると、中央のこぼれ球を徳村がフィニッシュするが、惜しくもクロスバーを直撃。その後も、58分に途中出場で2トップの一角に入った冨嵜、60分に中盤のデュエルをくぐり抜けた縄手のラストパスを徳村がそれぞれフィニッシュに繋げる。いずれのチャンスも大河原が弾き出して得点を許さないものの、TOKYO CITYが迫力のある速攻を度々繰り出し、南葛の守備に少なからず緊張感を与えていた。南葛は前線で溜めを作れていたこともあり、相手に多くの時間を与えず、3-0のまま試合終了。結果的には南葛が地力の違いを見せつける形となったが、TOKYO CITYの応援の呼びかけで訪れたスタンドのファンからは健闘に拍手が上がっていた。