2019.12.07 - 明治安田生命 J1リーグ 第34節
横浜F・マリノス × FC東京
( 日産スタジアム,14:00 )
J1リーグ最終節。日産スタジアムでは、首位・横浜Mと2位・東京による、優勝争い最後の大一番を迎えた。リーグ戦ではあまり見ることのできない、実質上の「優勝決定戦」となったわけだが、状況はホームの横浜の方が圧倒的に有利だ。勝点「67」の横浜に対して、東京の勝点は「64」。かつ得失点差でも横浜が「7」も上回っており、東京が勝点・得失点差共に上回って逆転優勝するには、この試合で「4点差以上の勝利」が絶対条件となる。前節、アウェイで川崎を4-1の大差で下した横浜は、扇原の出場停止以外はベストメンバー。一方の東京は、室屋が出場停止に加え、前節のホーム・浦和戦で負傷したディエゴの回復が間に合わずベンチ外。前節肩を痛めて途中交代となった永井もスタメンに入ったが、万全とは言い難い状態だ。あらゆる点でホームチームに有利な条件が揃う中、東京は逆境を跳ね返せるか。日産スタジアムのチケットは完売。雨天にも関わらず63,000人を超える大観衆が詰めかけた中、雌雄を決する一戦が幕を開けた。
試合の立ち上がりは、とにかくゴールが必要な東京が一気呵成に攻め込む。永井を1トップに据え、トップ下で髙萩がサポートする4-2-3-1のシステムを採用。ハイラインを敷く横浜の裏を突く狙いで、まずは1点を獲りにいく。横浜も東京の狙いを知った上で攻撃的な姿勢を崩さず、激しい攻撃の応酬となる。23分、東京は中盤からの縦パスに永井が抜け出す狙い通りの形を作るが、GK・朴一圭が1vs1のピンチを防ぎ、先制を許さない。すると26分、横浜は押し込む流れからPA外のこぼれ球をティーラトンが強引にシュート。カットに入った東に当たってシュートコースが変わると、これがループシュートと同じ軌道に変わってゴールに吸い込まれ、1-0。ラッキーな形とはいえ、横浜も攻撃的な姿勢が大きな先制点を生み出す。許してはならない先制点を奪われてしまった東京だが、諦めずに攻勢。38分、永井が髙萩とのワンツーからDFラインを突破してGKとの1vs1を迎えるが、シュートは枠の上。前半で2度の決定機を逃してしまう。すると44分、横浜は左サイドの攻め上がりから中央のエリキにラストパスを入れ、エリキがマークに付かれながらもゴール左隅へ鮮やかにフィニッシュを沈めて2-0。前半終了間際という絶好の時間帯に、横浜がタイトルの行方をほぼ決定づける2点目を挙げてHTを迎える。
後半に6点が必須という状況となり、もはや「奇跡」を起こすしかない東京は、HT明けに東と羅相浩を2枚替え。運動量とスピードが売りの兪仁秀・田川の2人を送り出し、総攻撃の姿勢を明確にする。横浜のカウンターに脅かされながら、ひたすらスペースを使った攻撃を繰り返す東京。62分、ロングカウンターから永井が抜け出し、PAを棄てて飛び出してきた朴一圭と交錯。主審が副審と協議の末、朴一圭は決定機の阻止で一発退場となる。横浜は1人少ない状況に加え、GK投入に伴い交代カードを使わざるを得ず、東京が微かに希望を見出すかと思われたが、今日の横浜にとって1人程度の数的不利は大した問題とはならなかった。77分には東京の後方に生まれた広大なスペースを途中出場の遠藤がドリブルで独走。そのままフィニッシュまで確実に沈めて3-0となり、これで完全に試合を決める形となった。東京も最後まで諦めずにボールを前線へ入れ続けたが、ゴールは遠く、このまま試合終了。横浜が2004年以来、15年ぶりのリーグ優勝奪還。タイムアップのホイッスルが吹かれた瞬間、日産スタジアムはこの日最大の歓声に包まれた。一方、逆転優勝を信じて乗り込んだ最終戦で無念の大敗に終わった東京。全ての戦いを終えた選手たちは優勝セレモニーを見ることなく、「You'll Never Walk Alone」の大合唱となったアウェイ側スタンドに一礼をして、静かにピッチを後にした。