2018.11.24 - 明治安田生命 J1リーグ 第33節
FC東京 × 川崎フロンターレ
（ 味の素スタジアム,14:00 ）
J1は残り2試合となり、現在5位の東京は今節がホーム･味スタでの最終戦。ACLプレーオフへの出場権を得るためには3位･鹿島との勝点差｢2｣をひっくり返す必要があり、そのためには勝利はほぼ絶対条件といえる。その重要なゲームで迎える相手は、前節に2年連続のリーグ優勝を決めたばかりの川崎。リーグ2位の得点の多さもさることながら、失点数もリーグ最少という堅守も特徴的だ。東京も失点数は川崎に次いで少ないだけに、ロースコアの展開から競り勝てる試合としたいところ。前節と同じスタメンで臨む東京に対し、川崎は負傷離脱中の小林と大島がベンチ外、阿部がベンチスタートとなった。ホーム最終戦での｢多摩川クラシコ｣実現とあってチケットは完売。実際の来場者数は40,000人を割り込んだが、大挙して訪れた川崎サポーターの声援もあり、味スタは素晴らしい雰囲気となった。
前半の立ち上がりは東京のペース。中盤からの厳しいプレス等でボールを奪うと、ドリブルで積極的に持ち込みファウルを貰うなど積極的な仕掛けの見られる時間が続く。しかし19分、東京の自陣内からのパス回しでボールを呼び込んだ橋本に対して川崎がパスコースを切りながら猛然とプレスをかけると、橋本の苦し紛れの横パスを知念がカット。知念がそのまま右足を振り抜くと、強烈なシュートがゴール左隅に突き刺さり、川崎が先制。東京は幸先良い出だしから一転、ビハインドの展開となる。その後も川崎の攻勢が続き、22分にはエウシーニョのクロスを受けた車屋がシュートへ持ち込むが、東京はリフレクションのボールを林が何とか身体に当てて防ぎ、事なきを得る。川崎は攻撃の鋭さだけでなく、パスコースを切って東京の選手にプレッシャーを与えることでミスを誘発する巧みな守備を披露。その後も東京に付け入る隙を与えず、0-1で前半を終了する。
後半、最初にチャンスを掴んだのはまたも川崎。50分、GK･鄭成龍のパス出しから短いタッチ数で繋ぎ、中村のスルーパスに右サイドのエウシーニョが抜け出してクロス。知念のフィニッシュは林が何とか止めるものの、こぼれ球を長谷川が頭で押し込み0-2。東京のプレスを全く寄せ付けない、完璧なロングカウンターを完成させ、川崎がリードを広げることに成功した。東京は後半の頭から永井を前線に投入してスピードで掻き回す狙い。58分にはリンスをサイドアタッカーとして投入して更に攻撃の舵を切る。実際、川崎の攻撃を防いでからカウンターを仕掛けられる場面もあり、相手ゴール近くまでは攻め入るものの、良い形のシュートに持ち込むことができない。82分には矢島を投入し、空中戦のオプションを追加するものの、クロスを入れるまでに手数をかけすぎてしまう場面が目立ち、なかなかパワープレイに持ち込むことができず。結局、川崎がリードを保ったまま無難にクローズし、0-2で試合終了。レギュラーメンバーを複数人欠く状況下であっても、攻撃に繋げることのできる質の高い守備を運用して｢格｣の違いを見せつけた川崎の完勝だった。東京はホームゲームで6試合連続無得点。他会場で3位･鹿島が勝利を収めたことで、ACL出場の可能性も消滅した。ホーム最終戦セレモニーはやや重苦しい雰囲気の中で始まったものの、長谷川監督の軽妙な語り口による挨拶などで穏やかな空気に。最後は今季限りでの現役引退を発表した梶山のセレモニーが行われ、寂しさも募るホーム最終戦となった。
