2018.11.04 - 明治安田生命 J2リーグ 第40節
FC町田ゼルビア × アビスパ福岡
( 町田市立陸上競技場,14:00 )
シーズン大詰めのJ2は、残すところ3試合。J2優勝とJ1昇格を賭けた上位争いは依然として大混戦のまま終盤戦を迎えた。特に今節は上位同士の直接対決が目白押し。横浜(4位)×大分(1位)、松本(2位)×東京V(5位)、町田(3位)×福岡(6位)の3カードが組まれるという非常に興味深い顔合わせとなった。現在3位につけている町田は、リーグ戦では直近で3試合勝利無し。対する福岡も負けは少ないものの、ここ2試合は連続でドローと、勝点を思うように伸ばせていない。特に6位の福岡にとってはJ1自動昇格、あるいは参入プレーオフに滑り込むためにも勝利を狙いたい一戦。守備の要でもある岩下を出場停止で欠く中でどのような戦い方をしてくるかが注目される。
試合開始と同時に目を引いたのは福岡のシステム。通常時の4バックと異なり、岩下を欠くDFラインは3枚。更に前線にドゥドゥ・城後・松田を並べる3-4-3で臨んできた。町田の4-4-2とミスマッチが起きる噛み合わせとなったことで、試合の立ち上がり20分間は非常にハイテンションな内容。立ち上がりは町田が鋭い速攻を繰り返して福岡のゴールを脅かす場面が続くが、1トップに入った城後が全体を引っ張る形となった福岡も盛り返す。福岡はドゥドゥが右サイドに大きく開いて待つ左右非対称に近いシステムだが、この戦い方は前半に見事に機能する。サイドに追い込んでくる町田の守備に対し、福岡は右サイドでボールを受けたドゥドゥが縦に仕掛けて町田の守備の手が回らないうちに攻め切ってしまうことでチャンスを作る。前半最大のチャンスは24分、右サイドからのドゥドゥのクロスに中央でフリーの城後がヘディングシュートを放つものの、ボールは僅かに枠の左。先制のチャンスを逃してしまう。序盤は慌ただしかった町田の守備だが、その後は安定し、試合は膠着。福岡も危険なエリアに入ってくるボールに対して的確に対処し続け、0-0のまま前半を終える。
後半に入っても試合は引き続き拮抗した展開。前半の決定的な場面を除き、対面の奥山に上手く対処された感のあったドゥドゥが左サイドにポジションを変更。左WBの輪湖とのユニットでサイドの切り崩しを図るが、町田の守備がなかなか崩れず、HT明けから20分を過ぎても互いに堅実な守備がなかなか崩れなかった。しかし70分、福岡がサイドから撃ち続けた「ジャブ」がようやく実を結ぶ。左サイドでフリーの輪湖が高めの弾道のクロスを中央へ入れると、頭ひとつ抜け出した城後のヘディングがゴール左隅を捉え、福岡が1点を先制。前半の決定機を外した城後だが、二度目のチャンスは逃さず。シーズン後半に入ってから勝負強さを見せるベテランの一撃により、ビジタースタンドに陣取った福岡サポーターの興奮は最高潮に達した。しかし町田はすぐさま次の手を打つ。73分、吉濱・土居の両サイドアタッカーを下げ、バブンスキーとロメロを投入する2枚替えを敢行。この交代策は僅か1分後に効果を発揮する。74分、右サイドへ開いた平戸がクロスを入れると、ファーサイドに入った中島がゴール左隅にヘディングを決めて1-1。先制を許してから僅か4分、福岡がチャンスを作った左サイドの裏を町田が逆に突く形で、同点に追いつく。これで試合は俄然町田の逆転ムードに。そして80分、今度は左サイドで町田が直接FKを獲得すると、平戸の入れたボールをバブンスキーがヘディングでゴール左隅に叩きこみ、2-1と逆転。先制を許してから躊躇なく2枚替えを敢行し、替わって投入されたバブンスキーが逆転弾。この間僅かに10分。相馬監督の采配が見事に的中した。逆転を許した福岡はレオミネイロを投入してサイドからこじ開けようと試みたが、町田が最後まで耐えきり、タイムアップを迎えることとなった。見事な逆転勝利を飾った町田が3位をキープ。他会場で首位・大分が敗れ、代わりに首位に立った松本との勝点差を「1」とした。一方、痛恨の敗戦で勝点を積み上げられなかった福岡は、J1自動昇格の可能性が消滅。しかしJ1参入プレーオフ出場の可能性は残しており、足取り重く引き上げる選手たちを福岡サポーターは熱い声援で迎えていた。