2018.06.09 - 天皇杯 全日本サッカー選手権大会 2回戦
FC東京 × 流経大ドラゴンズ龍ケ崎
( 味の素スタジアム,19:00 )
天皇杯は都道府県代表などが戦う1回戦を終え、J1・J2勢が登場する2回戦に突入。一部のJ2勢同士の対決を除き、勝ち残ったJ3あるいはアマチュア勢が上位カテゴリのプロチームと戦う構図となる。ホームの味スタで初戦を迎える東京は、昨年の天皇杯初戦でJ3・長野にPK戦で敗退しているだけに、2年連続での番狂わせを許すことだけは防ぎたいところ。J1リーグ戦が中断中ということもあり、スタメンにはリーグ中断前最後の鳥栖戦(A)と全く同じメンバーを揃えた。対戦相手は茨城県代表でJFLに所属する流経大ドラゴンズ龍ケ崎。流通経済大学のセカンドチームだが、県予選では筑波大学を撃破して本大会出場権を確保しているだけに、侮れない相手だ。
スコアは東京が早い時間帯に先制する。10分、左CKを太田がゴール前に入れ、ディエゴがシュート。こぼれ球の処理を流経大が焦って手間取る間に橋本が押し込み、あっさり1点を先制。開始直後こそ流経大が積極的な姿勢を見せたものの、東京がセットプレイでの強さを見せてリードを奪う。その後は東京が自陣でじっくりと腰を据えたパス回しをしつつ、縦に速い展開で「一撃必殺」の狙いを見せる。流経大の必死の守りもあり1-0の状況がしばらく続くが、30分に再び太田の左CKから丸山がクロスバー直撃のヘディングを放つと、36分にも東京が再びゴール前へ攻め込み、セカンドチャンスとなる左サイドへの展開から太田が低い弾道のクロスを供給。中央に詰めてきた髙萩がダイレクトで難なく流し込み、2-0。ゴール前に複数人が顔を出す理想的な崩しの形で追加点を奪う。前半の流経大は東京の攻撃を抑えるので手一杯の状態。東京もなかなかリズムが上がらず、本調子には見えなかったものの、要所を押さえて前半を終える。
前半の内容だけを見れば、誰がどう見ても流経大に勝ち目は無いように思われたが、しかし後半に展開は一変する。55分、流経大は東京の陣内でFKを獲得すると、中央の競り合いのこぼれ球をボランチの佐藤が拾い、東京の守備が寄せてこないと見るや反転して強烈なミドルシュート。これがオンサイドのポジションに残っていた園山に当たってコースが変わり、ゴール右隅に突き刺さって2-1。流経大が後半の早い時間帯に1点差に詰め寄る。ギアを上げたい東京は、直後の58分にセットプレイの競り合いから相手選手のハンドを誘ってPKを獲得するものの、ディエゴのタイミングを外すキックはGK・羽野に読み切られてセーブを許し、追加点ならず。すると66分、流経大は山口が中央でボールを引き出し、森重が当たってきたタイミングでボランチの本田に落とすと、ダイレクトでDFライン裏に出した本田のスルーパスに加藤が抜け出し、林との1vs1を冷静に流し込んで2-2の同点。フィジカル勝負で渡り合うだけでなく、パスワークで東京の守備を完全に出し抜いた。完全に波に乗って前に出てくる流経大に対し、速攻が繋がらず苦しむ東京は、83分に交代カードを2枚切って勝負。85分、長い距離のカウンターを中央の東が右サイドの室屋へ展開すると、クロスをDFの死角から入ってきたディエゴが頭で押し込み、3-2と勝ち越しに成功する。東京は88分にも左サイドでボールを奪い、東・室屋を経由して、3点目と同じような形からディエゴが決めて4-2。粘る流経大をようやく仕留めた。終盤のオープンな攻防の中での駆け引きで違いを見せた東京が、昨季の轍を踏むことなく3回戦に進出。流経大は惜しくも敗退となったが、最後までフィジカル勝負でほぼ互角の戦いを演じ、東京ゴール裏からも盛大な拍手が贈られた。