2016.04.30 - 関東大学サッカーリーグ戦1部 第5節
慶應義塾大学 × 専修大学
( 横浜市三ツ沢公園陸上競技場,14:00 )
関東大学1部の中ではかねてより比較的下馬評の高い慶應大と専修大の両校だが、2016年は決して思い通りとはいえないシーズンスタートとなっている。消化試合数はまだ4試合であるが、両チーム共に未だ1勝。上位を狙うためには勝利を積み重ねていかなければならず、弾みをつけたい重要な一戦だ。慶應大は4年生だけで占める最終ラインを中心に高学年の選手を揃えた一方、専修大はフレッシュな顔ぶれも目立つ。
前半にペースを握ったのは専修大。慶應大は縦パスには気を遣ってケアするものの、ドリブルなどで陣形を崩してくると対応が曖昧になってしまう場面が散見される。21分、中央からドリブルで仕掛けた佐藤(祐)を宮地がPA内で足を引っ掛けて倒してしまいPK。野田が冷静に決めて1-0とし、後半へ折り返す。前半はボールを拾ってもなかなか前線に収められなかった慶應大は、ポストプレイだけでなく積極的に裏のスペースへボールを入れていくように修正。49分に専修大のCKから氣田に押し込まれて追加点を許すものの、直後の53分、左サイドから井上がファーサイドのスペースへ高い弾道のクロス。溝渕が頭で落とすと、ゴール正面でフリーだった山本がダイレクトで合わせ、1-2に詰め寄る。これで完全に勢いに乗った慶應大は、63分に加瀬澤の左CKをニアの松木が頭でコースを変え、これがファーサイドのゴールネットに突き刺さり、2-2の振り出しに戻す。前半にドリブルで攻撃の起点になっていた中杉が疲れ、明らかな「奪われどころ」になっていた専修大は、トップ下に下田を投入。味方を活かす状況判断に優れたプレーが持ち味の下田のコントロールもあり、69分には左サイドを崩して野田がこの日2点目。一旦は慶應大を突き放した。しかし直後の74分、試合の流れを再び大きく変えるビッグプレーが飛び出す。自陣から松木が縦にフィードを入れると、中央で山本がボールを受け、トラップからそのままダイレクトでシュートに持ち込む。PA外から放たれた意表を突くロングシュートは、矢のようにゴール左隅に突き刺さり、またしても3-3の同点。これがピッチの空気をガラリと変えた。更に前線から圧力を掛け続ける慶應大の気迫が功を奏したのは82分。専修大のGK・蔦のミスキックからボールを拾うと、ゴール前へ入れたボールに山本と越水が雪崩れ込みながら競り合い。蔦がボールを拾おうと前へ出てきた瞬間と、越水がなんとかクリアしようと足を出したのはほぼ同じタイミングだった。越水のクリアボールは蔦の頭上を越え、転々と無人のゴールに転がり込んだ。慶應大が遂に4-3と逆転。その後は守備をしっかり固めた慶應大が逃げ切りに成功し、試合終了。劇的なシーソーゲームを制した慶應大が、今季リーグ戦2勝目を挙げた。