2014.09.10 - 天皇杯 全日本サッカー選手権大会 4回戦
愛媛FC × 大宮アルディージャ
( NACK5スタジアム大宮,19:00 )
現在、リーグ戦で17位に沈む大宮は、前週に行われた浦和とのダービーマッチで0-4と大敗し、大熊監督の解任を遂に決断。渋谷ヘッドコーチを新指揮官に昇格させ、J1残留に向けて大きく舵を切ることになった。そんな状況下で迎える天皇杯4回戦。大宮はリーグ戦から選手を大幅に入れ替えて臨むが、リーグ戦に繋げる意味でも重要な一戦。対する愛媛は、3回戦で川崎を1-0で撃破している。2戦連続の番狂わせはなるか。
先に試合を動かしたのは愛媛だった。5分、中央から江口が左足のフィードで右サイドへ大きく振ると、韓熙訓が頭で中央へ落としたところにフリーで詰めていた河原がワントラップから鮮やかなシュートを決めて1-0。開始早々の愛媛の得点に、スタンドには重苦しい空気が漂う。前半の大宮は長谷川が中盤まで下りてきて楔となり、両SBが上がってチャンスを作り出そうとするが、5バック気味に守る愛媛は中央へのカットインを徹底的にケアしつつ、クロスを跳ね返す集中した守りを見せ、1点リードで前半を終えることに成功する。後半になってもなかなか大宮のペースが上がらず、このままでは愛媛の2戦連続の番狂わせもあるかという空気が漂い始めていた。しかし62分、試合は大きな分岐点を迎える。中央でボールを持った江口のバックパスを狙っていた和田が奪うと、そのままドリブルで持ち上がり、フリーの富山へ。富山のトラップはゴールに向かって外へ流れてしまうが、そこを捕球しようとしたGK・児玉の手が富山の足に掛かってしまい、富山が倒されてPKの判定。これを富山自身が落ち着いて決め、1-1の同点。これで圧倒的に心理的優位に立った大宮は一気呵成に畳み掛ける。すると68分、右サイドを駆け上がった今井のグラウンダーのクロスを、中央に走り込んだ橋本がダイレクトで押し込み、瞬く間に大宮が逆転に成功。その後の愛媛はボランチを1枚削って3-3-2-2の攻撃的なシステムに変更し、前線へ積極的にボールを運んだが、大宮も決定的なシュートまで持ち込ませず、1-2で試合終了。粘る愛媛に生じた僅かな隙を逃がさず、一気に試合をひっくり返した大宮が渋谷新監督の初采配試合を制し、ベスト8進出を決めた。