2021.11.3 (水)
2021 明治安田生命J1リーグ 第34節
FC東京 × 清水エスパルス
( 味の素スタジアム,14:00 )
introduction
- J1リーグ戦は残り5試合となり、シーズンも佳境。その一方で、東京は既にACL出場権争いやJ1残留争いのいずれとも無縁になり、残りの試合は何をターゲットに戦うかモチベーション維持が少し難しい状況である。今節の対戦相手は、J1残留争いに巻き込まれている15位・清水。血眼になって勝点3を奪いにくることは間違いなく、その勢いに飲み込まれないことが重要だ。
- 新型コロナウイルスの感染者数が全国的に落ち着いていることもあり、11月から都内でのイベント開催での人数制限緩和が行われた。味スタでは20,000人まで収容することが可能に。今日もチケットは完売とまではいかなかったものの、18,000人を超える観客が来場。天候もスッキリとした秋晴れに恵まれ、気温は20度を超える暖かさ。選手にとっては暑さすら感じそうだ。さすがは「晴れの得意日」として知られる11/3、文化の日である。
- リーグ戦3連敗中と苦しい戦いの続く東京は、9/22のリーグ戦での悪質な肘打ち行為で出場停止となっていたレアンドロが復帰し、今節はベンチからのスタート。レアンドロ不在の間にチームはACL出場権争いから脱落し、カップ戦でも敗退するという散々な目に遭っただけに、残り試合では最大限チームに貢献してくれることを期待したい。渡辺が負傷からベンチに戻ってきてくれたのも、手薄な守備陣にとっては安心材料だ。
- 対戦相手の清水は、前述のとおりJ1残留争いの中で負けられない一戦。東京からすれば順位は下の相手になるが、第16節に行われた日本平でのアウェイ戦では0-3と完敗を喫している。夏場の移籍市場でも積極的な補強を行っており、チーム力は上がっているだけに油断のできない相手だ。
1st half
- キックオフ前のコイントスで選択権を得たのは東京だが、本日キャプテンマークをつける髙萩はコートチェンジを選択。それほど風が吹いていないことから、おそらくホーム側のゴールに逆光が差しているのを嫌ったか。そのホーム側のゴールマウスには権田が入る。
- 試合が動いたのは開始7分だ。東京は清水の後方からのパス回しに対して連動したプレスをかけて権田まで戻させ、更に永井がプレスをかけて権田のクリアコースを限定。「蹴っただけ」のボールをアダイウトンが回収し、安部とのワンツーでのパス交換でPA内に侵入する。そのままアダイウトンが左足を鋭く振り抜くと、シュートがゴール右隅に決まって1-0。アグレッシブな守備からミスを誘って速攻で仕留める理想的な形で東京が先行する。
- 東京のチャンスは続く。12分、東京は右サイドの拓海のスローインからディエゴが潰れてファウルを貰い、FKを獲得。キッカーの拓海が柔らかい弾道のボールをゴール前の密集へ蹴り込む。これに清水の選手が2人重なってしまい、ホナウドの頭に当たったボールが決まってオウンゴールに。リスタートの瞬間、オマリがオフサイドポジションにいたことからVARが介入してオンフィールドレビューが行われるものの、主審はオマリのプレイへの関与を認めずに「ゴール」のジャッジ。スコアは2-0となる。
- 2-0となっても東京のプレスの強度は落ちず、ゲームを支配する展開は変わらない。24分、左CKを髙萩が蹴ると、これにゴール正面のディエゴが頭で合わせて3-0>。前半の飲水タイムまでに東京が3点ものリードを奪う。まだセーフティな点差ではないが、余裕を持って戦える展開に持ち込めたのはありがたい。コートチェンジがあったおかげで、前半にホーム側の目の前で東京のゴールショーを観られるのも喜ばしいことだ。飲水タイム以降は東京がややギアを落とし、清水がボールを持つ時間が増えるものの、大きなピンチは無く3-0でハーフタイムを迎える。
2nd half
- HT明けから清水は中村・藤本の2人を投入。積極的な采配で3点のビハインドをひっくり返しにかかる。東京は永井が前半限りでお役御免、渡邊を左サイドに投入してアダイウトンの1トップに変更。カウンター狙いで、得点差を考えれば妥当な采配だ。やや余裕のある展開だった東京は、55分に最終ラインのオマリが太腿を痛めた様子で渡辺と交代。これ以上の怪我人を出すのは本当に厳しいが、渡辺がちょうど復帰していたのは幸いだ。
- 66分、東京は自陣でのボール奪取からアダイウトンが単独のドリブルで相手陣内を突進。そのままPA内に侵入してフィニッシュに持ち込むが、権田のニアを狙ったシュートはゴール左ポストに弾かれて追加点ならず。東京は更なる選手交代でレアンドロが久々にピッチに入る。68分、東京はゴールのほぼ正面で直接FKを獲得すると、レアンドロのコースを狙ったキックはゴール右ポストに弾かれ、こぼれ球に詰めた青木のシュートも権田の正面。チャンスは作れているものの、なかなか追加点が入らない。
- 一方の清水は、83分に左サイドからのクロスがファーサイドに流れたところを途中出場の山原がダイレクトで振り抜く。強烈なシュートがゴール左ポストを直撃し、スタンドからは大きなどよめき。勝点奪取の見込みが薄くなってきた清水だが、途中出場の選手が存在感を見せる。
- 87分、東京は右CKを途中出場の東が蹴り、中央へボールを供給。これに権田が反応するものの、ややボールが伸びて触ることができず。その先に待っていた森重が頭で合わせると、権田が飛び出して無人状態だったゴールにシュートが決まって4-0。ようやく試合を決める1点が入った。
- 後半ATには清水が最後の猛攻を見せ、右サイドから原のグラウンダーのクロスにニアの滝がダイレクトで合わせる絶好機を作り出したが、これは波多野が足を残してセーブして最後まで得点を許さず、このまま試合終了。東京が大量の4得点と、久々のクリーンシートを達成し、リーグ戦の連敗を「3」で止めることに成功している。
impressions
- スコアが示すとおり、東京の完勝だった。前半の早いうちに大勢にケリをつけてしまったことが大きかった。後方でボールを持つ清水に対して連動したプレスをかけ、相手のミスを誘っての先制点は「注文どおり」の形。そこから先は全てセットプレイからの得点だったが、いずれも相手陣内をしっかりと押し込めていたからこそ得られた形である。試合前のコイントスでコートチェンジをしたときは「前半で0-0だったら厳しいかも・・・」などと思ってしまったが、結果的にコートチェンジは大成功。前半のゴールラッシュをホーム側のコートで観られたし、あれは髙萩のファインプレイだった。
- 個人的に良かったと感じるのは中村拓海。2点目の直接FKは、拓海がディエゴの足下に供給したスローインから生まれたもの。そのFKもオウンゴールにはなったが、拓海が蹴って実質アシストも決めてみせた。CKの場面でも何度かキッカーを任されており、チーム内でキック精度への信頼が上がっていることを窺わせた。セットプレイ以外の場面でも、相手の寄せに動じない視野の広さで攻撃に貢献していた。今季の拓海は課題も多く露呈したシーズンになってしまったが、シーズン終盤とはいえ、台所事情の苦しい今の時期に存在感を発揮してくれているのは嬉しいことである。
- 清水はとにかく「後方が重たかった」という印象だ。ボールを丁寧に繋いで攻めていこうという意図は伝わってきたが、その過程で東京のプレスの網に簡単にかけられてしまっていた。4失点のうち実に3点を占めたセットプレイでの守備が課題なのは言うまでもないが、それ以前に自陣でファウルを犯すことの危険性をチームとして共有できていたのかどうかは疑問だ。東京からすれば、今日の清水が与しやすい相手であったことは確かだろう。
- ただ、タイトルレースや残留争いが全く懸かっていない状況でどのような試合になるのか不安要素が多かった中で、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたことは今後に繋がるはず。入場者数制限が緩和されて多くの観客が入った中でこういう試合が出来たのも良かったのではないだろうか。次節は中2日で横浜Mとのアウェイ戦。上位チームとの試合はこれが今季最後となるだけに、どんな試合を見せてくれるのか楽しみにしたい。
FC東京 |
4 |
3 | 前半 | 0 |
0 |
清水エスパルス |
1 | 後半 | 0 |
|
|
|
アダイウトン | 7' | 得点 | | |
ホナウド(OG) | 12' | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | 24' | | | |
森重 真人 | 87' | | | |
GK | 13 | 波多野 豪 | GK | 37 | 権田 修一 |
DF | 22 | 中村 拓海 | DF | 4 | 原 輝綺 |
| 3 | 森重 真人 | | 5 | ヴァウド |
| 32 | ジョアン オマリ | | 38 | 井林 章 |
| 50 | 長友 佑都 | | 7 | 片山 瑛一 |
MF | 21 | 青木 拓矢 | MF | 11 | 中山 克広 |
| 31 | 安部 柊斗 | | 33 | 松岡 大起 |
| 9 | ディエゴ オリヴェイラ | | 3 | ホナウド |
| 8 | 髙萩 洋次郎 | | 32 | ベンジャミン コロリ |
| 15 | アダイウトン | FW | 23 | 鈴木 唯人 |
FW | 11 | 永井 謙佑 | | 9 | チアゴ サンタナ |
GK | 1 | 児玉 剛 | GK | 25 | 永井 堅梧 |
FP | 4 | 渡辺 剛 | FP | 6 | 竹内 涼 |
| 7 | 三田 啓貴 | | 20 | 中村 慶太 |
| 10 | 東 慶悟 | | 24 | 藤本 憲明 |
| 18 | 品田 愛斗 | | 26 | 滝 裕太 |
| 20 | レアンドロ | | 39 | 山原 怜音 |
| 23 | 渡邊 凌磨 | | 50 | 鈴木 義宜 |
アダイウトン | | 7' | 得点 | | | |
ホナウド(OG) | | 12' | 得点 | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | | 24' | 得点 | | | |
| | | 交代 | HT | | 中山 克広 |
永井 謙佑 | | HT | | 中村 慶太 |
渡邊 凌磨 | | | 鈴木 唯人 |
| | | | 藤本 憲明 |
ジョアン オマリ | | 58' | 交代 | | | |
渡辺 剛 | | | |
髙萩 洋次郎 | | 66' | 交代 | | | |
東 慶悟 | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | | | |
レアンドロ | | | |
| | | 交代 | 68' | | ベンジャミン コロリ |
| | | 滝 裕太 |
| | | ホナウド |
| | | 竹内 涼 |
| | | 警告 | 73' | | 片山 瑛一 |
| | | 交代 | 80' | | チアゴ サンタナ |
| | | 山原 怜音 |
青木 拓矢 | | 83' | 交代 | | | |
三田 啓貴 | | | |
森重 真人 | | 87' | 得点 | | | |