8/23に行われた湘南戦から中2日、早くも次の試合がやってきた。東京が10月にACLのグループリーグを集中開催で戦うため、その時期に行われる第26節を前倒しての代替開催。日曜日に続いての味スタでのホームゲームだが、スケジュール的にはかなりキツい状況だ。前回の湘南戦は比較的涼しい気候だったが、今日は一転して蒸し暑く、30℃を超えるタフなコンディション。選手たちには少し気の毒だ。発表されたスタメンを見ると、東京は森重がベンチ外のほか、ディエゴ・永井・安部がベンチスタート。この連戦ではやむを得ないメンバー選考だ。後半の勝負どころで切り札として使うことになるのだろう。また、レアンドロは鹿島から期限付き移籍中の立場であり、契約上この試合には出場できない。代わりにアダイウトン・内田・原・オマリがスタメン入り。コンスタントに出場機会を得ている原だが、J1でのスタメン出場はこれが初めてだ。前節J1デビューとなった拓海は今日もスタメンだ。一方の鹿島は、内田篤人が前節の試合を最後に現役引退し、負傷した廣瀬の離脱もあって右SBがやや手薄な状況。今節は小泉が右SBに入るようだ。7月に行われたカシマでの前回対戦時は2-2のドローだったが、全体的には押される時間が長く、厳しい試合だった。果たして今日は勝利まで持っていけるのだろうか。
試合は鹿島の攻勢で幕を開ける。鹿島はとにかく2トップの一角に入るエヴェラウドの存在感が抜群で、守備で彼を捕まえることができない。ルーズボールもなかなか拾えずに支配され、序盤からピンチの連続だ。26分には左から右へのサイドチェンジで拓海と入れ替わった永戸がフリーでクロスを入れ、中央のエヴェラウドがドンピシャのヘディングで合わせるが、林が神がかり的な反応で右手一本で弾き出して失点を免れる。これだけ守勢で耐えれば、チャンスも出てくるもの。給水タイムを挟んで以降は単発ながら攻撃が繰り出せるようになる。すると前半ATに入った直後、右サイドでボールを受けた三田のキープに対して拓海が内側から追い抜いてハーフスペースでパスを引き出すと、ゴール前に走りこんだ原へのラストパスをカットしようとした関川にボールが当たってコースが変わり、オウンゴールで1-0。拓海の両手ガッツポーズが初々しくてほっこりする(笑)。劣勢を強いられていた東京が前半終了間際に1点を先制して前半終了。ベンチにはまだ切り札を残しているし、流れ的にも有利な状況のはずだ。しかし、その考えが甘すぎることを後半立ち上がりに思い知らされることになる。48分、鹿島は中央でボールを受けたファンアラーノがDFライン裏へ浅いクロスを入れると、これに抜け出したエヴェラウドがヘディング。一度は林が弾くが、こぼれ球をすかさず押し込まれて1-1の同点。更に57分には荒木の鋭いスルーパスにファンアラーノが抜け出してシュートを叩き込み1-2。鹿島の2列目、ファンアラーノと荒木の2人に中央をかき回され、手立てを打つ暇もなくスコアをひっくり返されてしまう。東京はすぐさまディエゴ・永井・安部の3人を同時に投入。原・永井・ディエゴの3トップで勝負に出る。しかし鹿島もすぐさまレオシルバを投入して中盤の守備を引き締め。ボールを狩ることで東京に流れを掴ませない。前線にボールを入れられない東京は、システムを4-4-2に変更。ディエゴと永井の2トップに変更し、ディエゴをよりゴールに近い位置でプレイさせようと試みるが、今度は鹿島がCBの奈良を投入して5バックにシステム変更。あの鹿島が5バックを使用するのだから、それだけ勝負にこだわっているのだろう。結局鹿島のガチガチの守備の前に全くスペースを見つけられないまま試合終了。鹿島が逆転で勝点「3」を獲得し、中2日のタフな一戦を制した。
やりたいことをほとんどやらせてもらえない試合だった。終始鹿島に攻撃のリズムを作られ、それに振り回され続けてしまった。その最たる要因は、エヴェラウドのDFラインとの駆け引きの上手さにあったように思う。主にマークについていたのは渡辺だったように思うが、なかなか捕まえられずに最終ラインが押し下げられ、また森重に代わってCBを務めたオマリも機敏ゆえに相手の動きに振り回される場面が目立ち、守備をコンパクトに保つことができなかった。それによって中央でプレー可能なスペースが生まれてしまい、そこをファンアラーノと荒木に有効に使われてしまったように見えた。ファンアラーノは1点目のアシストと2点目の得点を記録したし、高卒ルーキーながらJ1初スタメンを勝ち取った荒木も鋭いスルーパスで2点目の逆転弾をアシスト。この2人の中央への侵入を抑えられなかったことが失点に繋がったといえるだろう。東京はディエゴや永井といった強力なカードをベンチに置き、勝負どころで起用してきたが、その時点で既にゲームは鹿島のリズムで動いてしまっていたし、それをひっくり返せるだけの勢いも作れていなかった。終盤の交代策も鹿島の方が的確だったし、東京の打つ手打つ手を全て断たれてしまった印象だ。何より、30℃を超える蒸し暑さの中でも最後まで守り切れる鹿島の守備のタフさが見事だった。懸案だった右SBも、小泉がハードな守備でほぼパーフェクトに対応していた。悔しい結果ではあるが、この結果は受け入れざるを得ないと思う。完敗という試合の中でもポジティブな要素が全く無かったわけではない。原は中に1人で入っていく動きで何度か危険なエリアでキープを見せ、少ないながらもチャンスを作っていた。拓海もサイドを積極的に攻め上がり、相手のオウンゴールを誘う決定的なラストパスを出すなど存在感を示した。守備では相当苦しんでいたが、それでも90分フル出場したことは大きな経験になるはずだ。チーム全体としては守備でバタつく「若さ」を露呈してしまったし、攻撃面でレアンドロ不在の影響を感じさせたが、今季はこういったやりくりをしながら戦うしかないのが現実であり、経験も積みながら結果も出していくしかない。次の試合はまたしても中2日でアウェイ・G大阪戦が待っている。肉体的にも精神的にもリカバリの難しい状況が続くが、何とか勝点を持ち帰ってくれることを願いたい。